廃線跡探訪 番外編
(旧内濱架線詰所)
 2015年の初夏に新聞上で,旧京都市電の最後の関連施設を歴史的建造物として再生する,という記事が掲載されました。この数か月前に,”京都市電ゆかりの最後の建築物である旧九条車庫(市バス九条営業所)が解体”についての京都新聞からの取材インタビューを受けたばかりだったので,「え?そんなものがまだ残っているの?」とびっくりしました。しかも,この前は昔からよく通る場所だっただけに,この建物が市電ゆかりの建築物だとは恥ずかしながら知りませんでした。
 この建築物は,「旧京都市電 内濱架線詰所」。河原町通七条を上ったところにあります。上記の九条車庫の建築物は昭和8年竣工でしたが,記事によると,この建築物は大正15年に土地を取得。市電の架線が事故などによって断線した際に復旧措置を行う保線施設として昭和2年に「内濱架線詰所」として建てられたとのこと。鉄筋2階建てで,南側に保線車両の車庫があり,延床面積は約138平米。1階は作業空間,2階は事務所として使われていたようです。

 その後,「京都市資産有効活用市民等提案制度」の公募に掛けられ,軽飲食店(カフェ)の運営やギャラリースペースでの物品販売として活用されるとのことでしたが,その結果は・・・。

[平成27年11月]
 こんな素敵なカフェが開業しました。
 店舗の名前は「開花堂カフェ」。「開花堂」と言えば,京都では茶筒の老舗として知られています。その開花堂さんがこの建物をカフェとして活用することになったわけです。
 店内は,コンクリート打ちっぱなしの無骨なかつての面影を残しつつ,テーブルやカウンターなどを置き,素敵な空間となっています。中庭にテラスも作られています。

 京都市電関連の建築物としては最後の1つとなるだけに,その系譜を繋ぐ施設として末永く活用してほしいですね。

[平成28年5月]
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